真面目なVR酔い対策
なぞVR酔いが起きるか?
人間の日常の行動はだいたい小脳による自動運転でまかなわれていると自分は考えている。
例えば「歩く」という動作を我々は「腕を振って、次のタイミングで足を出して」など考えておらず、歩こうと思ったら自然に歩いている。
この小脳の自動運転にエラーが起きた時、それをカバーするために大脳に過剰な血流が流れ、結果的に三半規管に血流がいかずに酔いが発生する。そう自分は考えている。
もう少し具体的に書くと、例えば自転車の運転を覚える過程を例にしてみたい。
自転車を運転を覚える時、我々は足に力を入れペダルとまわし腕はハンドルをきり・・・と常に頭(大脳)で考えながら運転を覚える。
その大脳で覚えた事は徐々に小脳にコピーされ、小脳へのコピーが完了したとき自然に自転車に乗れるようになる。以後自転車を運転するのに特別な意識は必要無くなる。
この時、自転車に似ていてちょっと違う乗り物、例えば漕ぐと後ろに進む自転車に乗った時、自転車に乗れる人は大いに混乱すると思う。
むしろ自転車に乗ったことが無い人のほうが順応が早いかもしれない。
これが小脳の自動運転にエラーが紛れる、と自分は表現している。
小脳でエラーが発生したとき、大脳がそのエラー原因を特定しようとしたり、大脳でカバーしようとフル回転する。そうすると大脳に血流が集中し、結果三半規管などに血流がいかなくなる。
このあたりは下記に色々参考になるリンクを貼って置きます。
https://www.ssp.co.jp/aneron/cause/mechanism.html
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO88513720V20C15A6W13001?channel=DF140920160919
あと論文としては鉄道総合技術研究所におられる中川千鶴さんが酔いに関する論文をたくさん出されております。
またテンカンの診断に使う SPECT検査(脳の血流を見る検査)なども使えばもう少し細かく解るかもしれない。
じゃあどうやったらVR酔いを起こさないか。一つの答えが「小脳がいつもの活動ができるように、完全に現実と同じにする」というのが答えの一つだと思う。
例えば「歩いて移動」という一つにとっても、
・三半規管が加速度を感じる
・足の裏が衝撃を感じる
・胃の位置が変わる
・脚の筋肉が使われる
・自分の動いたとおりに視界が変わる
などが現実と同じ通りに動けば完璧になります。難しい場合、このいくつかがクリアーされていれば酔いは軽減されることになる。
・三半規管が加速度を感じる
→モーションチェアを使って疑似加速度を与える
→現実には無い細かいギャップはナシにする
・足の裏が衝撃を感じる
→その場で足踏みする
・胃の位置が変わる
→その場で足踏みしたり、腕を振る
・脚の筋肉が使われる
→その場で足踏みする
・自分の動いたとおりに視界が変わる
→6DofのHMDを使う
→視界を狭くし、現実でモニターを見ているように小脳を騙す。
→普段より速い速度にし、現実を思わせなくする
色々な方法があり、これらを組み合わせるなどしてできるだけ解消するようにする。
(これ意外でもコントロラーで移動操作をすると、小脳がゲームを遊んでいるモードになって酔いやすいとかもあると考えている)
このあたり、自分もちゃんと実験をしてデータを集めているわけではなく、普段のVR開発やVR展示の中で、フィールドワーク的に集めた経験則なのでちゃんと実験してデータを集めたいとは思っている。
もっと言うと「動かない」が正解であるとも考えている。
VRの設計上移動を排除するというものである。
考えてみると「歩きスマホ」や「自転車スマホ」をみれば解るとおり、人々は移動を退屈で苦痛だと思っている。だからスマホを見てそれを鎮痛している(自分と他人の命を危険にさらしてまで)。
それなのにVRでもう一度その苦痛な移動をするのか? というとその必要は無いんじゃないかとも考えている。
という話はOculusGoを楽しんでもらう多くのユーザーには必要の無い話なので、難しいはなしは抜きにして、自分の楽しい範囲で色々なコンテンツを楽しんでほしいと思います!